2007-07-14

Jolt Awards が読みたい

よく書評を読む. 本屋で勢い余ってハズレの本を引きたくない. 一方で世の中あてにならない書評も多い. どこかに鉄板のおすすめ本リストはないかと考え, ふと Jolt Awards を思いだした. Jolt Awards は プログラマ向けのソフトウェアからウェブサイトや書籍までを扱う総花的なアワード. DDJ などを発行する CMP が開催している. ウェブサイトには "The Jolt Awards are the Oscars of our industry." とあるが, ちょっと褒めすぎだとは思う.

アフィリエイトがてら Jolt Awards の歴代入賞本を並べてみた. 思ったより玉石混合. でも時系列に眺めると時代を感じて楽しい. 1990 年から 2006 年まで. "Jolt Winner" がいわゆる "大賞", "Productivity Winners" は入賞くらいかな. 2002 年から要素技術よりの "Technical" と偏りのない "General" にわかれている. 日本語訳や書籍の公式ページなどがみつかったものは併記してある. 版は現時点で最新のものを載せた.

2006

Books General/Jolt Winner:

Books General/Productivity Winners:

Books Technical/Jolt Winner:

Books Technical/Productivity Winners:

2005

Books General/Jolt Winner:

Books General/Productivity Winners:

Books Technical/Jolt Winner:

Books Technical/Productivity Winners:

2004

Books General/Jolt Winner:

Books General/Productivity Winners:

Books Technical/Jolt Winner:

Books Technical/Productivity Winners:

2003

Books General/Jolt Winner:

Books General/Productivity Winners:

Books Technical/Jolt Winner:

Books Technical/Productivity Winners:

2002

Books General/Jolt Winner:

Books General/Productivity Winners:

Books Technical/Jolt Winner:

Books Technical/Productivity Winners:

2001

Jolt Winner:

Productivity Winners:

2000

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1999

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1998

Jolt Winner:

Productivity Winners:



1997

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1996

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1995

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1994

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1993

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1992

Jolt Winner:

Productivity Winners:

1991


Jolt Winner:

Productivity Winners:

1990

Jolt Winner:

Productivity Winners:

所感

こうしてみると Jolt Awards はソフトウェア開発に特化しているのがわかる. コンピュータサイエンスという感じではない. たとえば OS やコンパイラ, アルゴリズムの本は全く入っていない. そういうのを読みたい人は他をあたる必要がある. General 部門が比較的先鋭的なものを選ぶのに対し, Technical 部門は入門書が中心. 要素技術の細かい話もあてにならない. 量を考えると仕方ないけどね.

賞の性質上, 次年度以降に重要性が認識されたものは漏れている. たとえば "プレファクタリング", "パターン指向リファクタリング入門", "Refactoring Databases" があって 本家 "リファクタリング" がないのは理不尽だ. リファクタリングの重要性が広く認識されたのは出版の翌年以降なんだろうね. そういう例は他にもありそうだ. (そういえば "達人プログラマー" もない.) 逆にその年の流行りで入れてしまったと思しきものもある. 年単位の Awards とは別に オールタイム・ベストがあればいいのかも.

それにしても 16 年間の書籍がずらり並ぶと感慨深い. まず感じるのは技術的なトレンドの移りかわり. 当初は毎年のようにランクインしていた C++ は 1995 年で姿を消し, Java に座を譲る. 悲しい. その Java もここ二年続けて姿がない. かわりに Ruby(Rails) と, なぜか Common Lisp が姿を見せている. これらが流行の兆しなのかはわからない. 言語以外では Client/Server, Distributed Object, Windows といった要素技術が 連続して入賞することはない. 書籍自体が改訂されることも少い. たぶん CSS も今回限りだろう. ("プログラミングWindows" はかなり健闘して 5 版まで続いたが, .NET の登場に合わせて終幕した感がある.) 方法論のトレンドも移り変わる. アジャイルやオープンソースの隆盛は自分の感覚とも一致している.

書籍の内容とは別に時代の流れを感じるのは書籍サイトの登場だ. サンプルを公開してるもの, それどころか全文を公開しているもの. Joel on Software なんて本文も訳も Web 生まれ. 読者にとってはありがたい時代になったものだと思う.

廃れていく本がある一方で鉄板もある. 本質的な話題を扱う "Code Complete", "OOSC" (読んでない) "ソフトウェア要求" は息が長い. "ソフトウェア見積り" もロングセラーになるだろう. また要素技術の中でも廃れきらず踏み止まった定番がある. "Fowler の UML", "Effective C++", "About Face" (読んでない) は根強い人気. "Effective Java" も改版の噂があり, ロングセラーの予感がする.

"POSA" や "Design Patterns" も (個人的には早く廃れて欲しいけれど)まだよく参照される. シリーズとして続編も多く出ている: "Software Patterns Series", "Books on Pattern-Oriented Software Architecture"

こういうご長寿本は歴史が鉄板を保証してくれる. 挫けない範囲で読んでいいと思う.


積読アワード

そういえば気になる読みこぼしを探すのが当初の目的だった. 忘れないうちにまとめておこう. 以下はまったく個人的なメモです.

次点:

それにしてもリスト作りは苦行だった. ひたすら検索とコピペの繰り返し. 世間のアフィリエート人はエライ. 金に目の眩んだ私が愚かだったと反省しております. もうやりません. 紹介するのは自分の読んだ本だけで十分.